AFTER5

がんや難病の「5年生存したら、その後どうなるの?」を伝えるメディア

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No.6 子宮頚がんの治療の先に見つけた働き方 ココさまの記録(後編)

がんや難病などを告知された患者さんの「告知から5年以降」の情報を集めていく「AFTER5(アフターファイブ)」。

今回は、2004年に子宮頸がんの告知を受けたココさんにお話を伺った後編をお届けします。

突然の告知から生活が一変し、働く場を失ったココさん。再就職の難しさ、変化した体と仕事の関係、そして今に至るまでを伺いました。

 

動画編集作業をするココさんの写真

プロフィール

お名前 ココ 
年齢・性別 1970年生まれ・女性
家族構成 現在は夫と2人暮らし 告知時は未婚のため両親・姉と同居
病歴 2004年 子宮頸癌告知
告知時の年齢 33歳
 

前編はこちらから

 

after5project.com

 

仕事について

── 職場や上司などへの報告で不安だったことや困ったことはありましたか?

 特に隠さず報告しましたが、今後仕事が継続できるか不安でした。

── 病気について会社へ共有された際、どのような反応でしたか?

自宅待機を命じられて、数日後に自宅の近所まで直属の上司がやってきて、解雇を告げられました。

── 解雇を告げられたというのは、治療と仕事の両立を認めてもらえなかったのでしょうか?お聞かせいただける範囲で、状況を教えてください。  

そう言った話は一切なかったです。1ヶ月後に退職の一択でした。私には選ぶ権利もなかったです。

──仕事が続けられるかという不安が現実になってしまったのですね。病気になった後、働く上で助かったこと・良かったことはありますか? 

病気になった時、健康保険組合のある会社に入っていたため、退職後、任意継続の手続きをし、医療費があまりかからなかったことが助かりました。 

── 病気になってから現在に至るまで、仕事をする上で困ったことや嫌だったことはありますか?

尿意が感じにくく、お手洗いに時間がかかるため、仕事中、おトイレに立つたびに注意を何度も受けました。

── 仕事中トイレにいくことを注意されたことは悲しいですね。職場全体で理解が得られなかったのでしょうか?

療養後に勤めた会社での出来事で、排尿障害等については、私もうまく説明できてなかったと思います。

今にして思えば、ちゃんと説明すれば良かったと思うのですが、入社時に病気のことを隠していたという後ろめたい気持ちもあり当時は事細かに説明していなかったんです。 

── 病気になった後、就職活動や転職活動で困ったことはありましたか?

前職の退社理由で病気を告げると、必ず不採用になったため、生活のためどうしても就職したくて退職理由に嘘をついてしまいました。

── 転職活動で前職の退職理由を病気だと伝えると必ず不採用になったのですね。現在のお勤め先では、入社後に病気の話をしましたか?

現在は自営ですので、なんの気兼ねもなく伸び伸び楽しくやってます。

── 求職活動をされた際はハローワーク窓口など、どこかに病気のことも含めて相談されましたか? 

ハローワーク窓口等には常に相談していたのですが、年齢のこともありなかなか転職はむずかしかったです。

── 働くことについて医師からアドバイスはありましたか?

特にないです。

── 今現在お仕事をする上で工夫していること・気になっていることなどはありますか?

現在は特に何も気にせず楽しく働いてます!

 

── 現在はどのようなお仕事をされていますか?

現在は、夫の会社を手伝うとともに

私個人では、配信・動画作成の仕事を始めました。

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── なぜそのお仕事を選ばれたのでしょうか?

趣味が高じて音楽イベントを立ち上げて運営していたのですが、コロナで集客ができなくなったため、独自で配信を始めました。すると他のイベントからや個人の方から配信をお願いされるようになり、最近仕事として請け負うようになりました。

── 自営で勤める上でのメリット・デメリットを教えてください。

メリットとしては、誰にも気兼ねなく仕事ができることです。(おトイレにも好きな時に行けます。笑)

デメリットは、夫も自営なので安定が無いことですね。

 

治療を経て、現在闘病をする方へ

── 現在も治療は続いていますか?

定期的な検診含め、治療は全て終わりました。

── 振り返って、当時のご自身に今伝えたい事や、当時欲しかった情報などがあれば教えてください。

当時の自分に伝えたいことは、

 

悲しく苦しいことがまだまだ続くけど

10年後以降は、すべてが良い方向に進むから

笑顔で前向いてがんばって!!

 

と言いたいです。

 

当時欲しかった情報はセカンドオピニオンです。

私は、子宮はもちろん卵巣も2つとも取ってしまったので、もしかしたら片方だけでも残す方法があったんじゃ無いかと今でも思います。




── 同じ病気を患っている方や、病気を治療している方にメッセージをおねがいいたします。 

闘病後は、子供を産めなくなってしまったことや、排尿障害(いまは改善)を気にして、恋愛も結婚もできないと思ってました。

また、仕事についても、病気のことを話すと不採用になったりなかなかきちんと就職出来ず、このまま生きていても未来はないと思っていました。

しかし、40歳になった時、ふとした気まぐれで、バンドを始めたことをきっかけに、人生が大きく開て行きました。まず音楽を通じて、現在の夫と出会い結婚しました。

また、仲間をあつめて音楽イベントを始めたことによって自営で配信の仕事を始めることになりました。

30代の私はとてもどん底でしたけど、40代そして50歳になったいま、とても幸せな人生を送ってます。

いまは、とても辛く悲しい思いをされてる方に

生きていれば、人生が変わるきっかけがある。”

ということをお伝えしたいです。

 

── 悲嘆にくれていたココさんを変えたのは音楽だったのですね。音楽って癒す力や元気になる力など、パワーがありますね。音楽イベントを通して実現したいことや伝えたいことがあれば教えてください。

 

闘病中に、make a wish という活動を知りました。

ご存知かと思いますが

 

難病の子供たちの夢を叶える

 

そんな活動です。

それを知った時に大人の夢を叶える活動はないのかなぁと漠然と思ってたのですが、40を過ぎて、音楽を楽しむことが日常になった時に、音楽で大人の夢は叶えられないだろうかと思ったんです。

 

病気とか関係なく全ての人が思っていた形とは違う感じになったとしても願っていた夢が少しでも叶うといいなと。

 

なので、うちのイベントは、

 

武道館でライブをやる!

 

を目標として始めました。

 

武道館はまだ道半ばですが、憧れのミュージシャンと一緒に演奏するイベントなどは開催できるようになりました。

 

参加者の皆様のキラキラした子供のような笑顔をみていると本当に幸せな気持ちになります。

武道館ライブも必ず叶うと思ってます。

 

 

インタビューを終えて

 

ココさまがAFTER5の簡易インタビューアンケートにご回答くださった内容を見て、「仕事を辞めさせられた」という事実がとても重く、悔しいけれどやっぱりそういうことはあるのだと痛感しました。

突然の告知から、恋愛について考えることをやめた日、職場でトイレを注意された日、いくつもの日の先にココさまが見つけた今の働き方と夢。

目指すものに向かって生き生きとされている姿がすてきです。

 

AFTER5では告知から5年以上経った方に簡易インタビューアンケートを実施しています。

答えづらいことは回答しなくても大丈夫。匿名でOKです。

あなたのお話も、お聞かせください。

 

簡易インタビューアンケートはこちら

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