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がんや難病の「5年生存したら、その後どうなるの?」を伝えるメディア

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陰で嫌味も……。働く“がん・難病罹患者”の仕事の現状

AFTER5では、がんや難病から5年以上経過した方に対して簡易インタビュー(アンケート)を実施しています。本記事では、すでに回答いただいた9名の方の「お仕事」に関して紹介します。なお、回答は引き続き募集中ですので、記事の下部からぜひ参照してください!

まずは回答者の属性について。40代が最も多く4名。次いで、30代と50代が2名ずつ。グラフは省略しますが、病名は「乳がん」が最も多く、その他複数のがんの方がいました(今回の回答では難病を挙げた方はいませんでした)。ステージは2〜4とさまざまでした。

あなたの年齢を教えてください

罹患後の経過時間は「5年〜10年」が過半数の6名。10年以上という方もおり、現在闘病しているわたしたちにとって、大きな希望であり目指すべきところです。

罹患してからどれくらい経過しましたか?

現時点での回答者は、年齢と罹患後の経過年数を鑑みると、20代〜30代といったいわゆるAYA世代を含む若い時期に罹患した方が多いなという印象を受けます。キャリアの序盤や働き盛りの方が多く可視化されたので、アンケート項目の中にある「仕事について」にフォーカスして情報をまとめます。

治療中の仕事状況は、「一時的な休職」が多数派となり、それまでと変わらずに仕事を継続した方はいませんでした。その他の回答としては「自短勤務などの勤務体系を変更して継続」、「退職」、「退職して再就職」などが挙げられました。

治療中、仕事は継続しましたか?

続いて、病気のことを職場に共有しましたか? という設問に対する回答です。半数以上の方が隠さず報告。人事部や上司など、限られた人にのみ報告という回答も含めると、ほとんどの方が病気について共有しています。

病気のことを職場で報告しましたか?

さて、ここからは個別の回答をピックアップして掲載します。

設問「職場や上司などへの報告で不安だったことや困ったことはありましたか?」に対する回答から、過剰に心配される不安、仕事の対応、報告の順番など、多様な悩みが伺えます。

上司と同僚に信頼できる人が揃っていたので不安はなかった。とても心配症な上司だったので、過剰に心配するのではないかと、説明の仕方を事前に考えました。

男性上司は対応に困ったと思う どこまで話していいのか悩んだ 単に病状だけなのか メンタル的な事も話した方が良いのか

休職中の仕事の対応と、復帰後の就業について不安だった。哀れみの目で見られないか不安だった。

誰から報告するかの順番。結婚式の座席表以上に悩んだ

続いて、設問「病気になってから現在に至るまで、仕事をする上で困ったことや嫌だったことはありますか?」に対する回答。見ているだけでつらくなるネガティブな回答から、勇気をもらえるポジティブな回答まで幅広く集まりました。つまり会社によって対応に大きく差があり、これからの社会の課題だろうなと感じます。

ネガティブな回答。

脱毛したのでウィッグの間 励ましもあったけど 同情されているのを感じて あんな風にはなりたくない という空気を感じてつらかった

職場復帰したら、すぐに以前と同じ様に働けると思われた。(残業、休日出勤、出張等) 「まだ体力的に難しく、安易に引き受けると逆に迷惑をかけてしまう」、と伝えたら、他の社員のいる前で「今でも十分迷惑だ!」と言われた

同僚からは 陰で嫌味を言われたこと。楽して給料もらってるなど。

入院前にやっていた仕事を他に任せたら退院してから返してもらえなくなった

一方、ポジティブな回答も。

自分の現在と考えられる状況をしっかりと伝え、休むべきとき休んで任せることは任せることを意識していたので、大きい混乱はなかった。術後2ヶ月で海外出張に行かせてもらったり(もちろん自分の希望で)職場に関してはかなり恵まれていると自覚しているし、そのことを本当に感謝している。

幸い、病気のせいで仕事に支障があったことはありません

ホルモン療法中は体調不良が続き辛かったが、今は治療が完了しているため特に困った事はない

設問「病気になった後、就職活動や転職活動で困ったことはありましたか?

ネガティブな回答としては、上司の偏見や転職活動での懸念を挙げた方がいました。

転職しようとした先の上司は、病気に対する思い込みが激しく、治療のことなど偏見があるのが困りました。

がんと伝えると仕事に就けないこと

意外と大丈夫だったという回答も。会社に共有した際の回答と同じく、職種や会社によってばらつきが大きいのかもしれません。

入社前、もしくは入社後健康診断で内定取り消し(または試用期間のみで終了)となるか不安になる事。実際は問題無かった。

資格を持っているため、病気の事を隠さなくても転職できました。

病前からずっと同じ職場で働けているので、特に困ったことはありません。

希望した休職の間以外は勤務している 長期療養者の就職支援を利用したので 転職活動のサポートは手暑かった

今回のアンケート結果で勉強になったのは「長期療養者の就職支援」というもの。AFTER5メンバーも知らない者が多かったので、本記事でも紹介します。

長期療養者就職支援事業(がん患者等就職支援対策事業)とは、厚生労働省が行う、がん、肝炎、糖尿病等で長期療養が必要な方のための就職支援です。専門の相談員をハローワークに配置し、がん診療連携拠点病院等とも連携を行い、個々の希望や治療状況を踏まえた職業相談・職業紹介等を行っています。詳しくは厚生労働省のサイトをご確認ください。


簡易インタビューは引き続き回答を受け付けています。あなたの経験が誰かの希望になります。ご協力よろしくお願いします。

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